住友病院看護部 公開講座:最終報告

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1.概要

当院クリニカルラダーの中で、専門・認定看護師が講師を担当する講座の一部を外部に公開した。 公開期間は6~11月、公開したのは下記の8講座である。

2.広報

大阪市下の訪問看護ステーション236事業所および200床未満の病院120を対象にゆうメールで公開講座のお知らせを送付した。また、大阪府看護協会と当院のホームページに講座一覧および申込用紙、申込アドレスを掲載した。
FAXからの申し込みが93.6%を占め、28の病院/診療所、23の訪問看護ステーションからの参加があった。講座を知るきっかけは、ほぼ送付チラシを通じてであったが、大阪市外からも「関連病院から看護部経由で連絡があった」「友人からの口コミ」などの理由で参加されていた。

講座を知るきっかけ

3.結果

申し込み総数は188名、延べ参加人数は127名、反応率(申込数/発送数×100(%))は52.8%であった。
参加日程が後半になる程、または複数の参加日程を設ける程、出席率が低下する傾向にあった。各講座への参加傾向では、感染管理と褥瘡予防については病院からの申込みが多く、全人的苦痛や意思決定支援は訪問看護ステーションからの申込みが多かった。

※出席率=参加数/(申込数-お断り数)×100(%)

講座名 申込数 参加数 出席率
がん患者と全人的苦痛 8 7 88%
褥瘡予防の基礎 35

30

86%
糖尿病─ライフステージの特徴─ 20 13 81%
がん患者の意思決定支援 18 13 76%
耐性菌および抗菌薬の基礎知識 36 25 69%
看護師に求められている緩和ケア 15 6 67%
化学療法+放射線療法 29 18 64%
がん患者の症状マネジメント 27 15 58%
合計 188 127 73%

4.参加者の属性と参加動機

参加者の所属は病院68%、訪問看護ステーション28%、看護師経験年数は平均16.9±9.5年、中央値16年であった。
参加動機は「興味」「スキルアップ」の順に多く、ついで「無料」が続いた。
「○○の委員である」など自施設での役割につながるとしたもの、「今年はがん看護で自分の研修計画を立てたから」など自己のキャリア形成との関連、「病院との連携を深めたい」などステーションと病院の連携強化が理由とされているものもあった。

参加者の所属
参加者の所属の円グラフ

参加動機の棒グラフ

5.今後の希望

今後、公開講座で取り上げてほしいテーマでは褥瘡ケア、ストーマケア、感染対策、精神疾患を抱えた利用者へのケア、症例相談、同様の内容で継続してほしいなどの希望があがった。会場では講義終了後に講師に個別の質問に来られたり、「質問時間を講義の中に組み込んでほしい」との要望も各講義のアンケート中に複数記載されていた。

6.運営の評価

開催日時は全て平日、開始時間は13時、15時、16時のいずれかであった。約7割が「開始時間は適当」と回答されたが、どの時間に設定しても「開始が早い」の意見が一定数あり、16時からの講座に対しては「開始が遅い」という意見が回答者の3割を占めた。その他、「午前勤務を終えてくるので14時頃希望」「平日の夕方希望」「土日希望」などの具体的なご意見をいただいた。

開催日時
開催日時の円グラフ

7.総括

クリニカルラダーの公開は、地域で働く看護師の継続教育のニーズに応えられ、当会議の「専門・認定看護師の活動や協働を通して院内および地域の看護の質向上に貢献する」の目的にも合致していた。今後は会場や日時設定などの課題の解消や、院外に焦点化したテーマの検討等を行い、より地域に望まれる公開講座となるよう洗練する。